CANDLE CAFE & Laboratory ΔΙΙ

山上新平 写真展「Refined black」
EXHIBITION
山上新平 写真展「Refined black」
本展は12年前に山上が自身のためだけに作った「魂が消えた問題作」というシリーズを、過去に立ち返り新たに制作した作品たちです。
※本展は映像作品もあります。

同時開催中の中目黒にあるPOETIC SCAPEでも、山上が長い期間取り組んでいるシリーズの新作が展示されています。
https://www.poetic-scape.com外部リンク

POETIC SCAPEでのストレートな表現に反し、△llでは過去に立ち返った実験的な作品を発表してもらいたいという要望を提示した。

この要望は、山上を精神的にも体力的にも苦しめてしまったかもしれない。
全ては未来に向かっているのに過去に向かう辛さと難しさ、当時と同じ体調と環境を意識し、心と身体をかなりの深度まで潜らせてしまった。
そこからしか12年前と今が繋がる写真は撮れないと山上は感じたからだ。

この葛藤や自身との戦いの細部はあまりにも長く大きく、そして私の語彙力で言語化しても、誤解を招くかもしれなく、説得力の弱さからここには記さない。
いや、記せない。
完結的にいってしまうと今回展示されるのは、苦しみから抜けて生まれた作品たちだ。

山上は今回の展示を「実験で死んでしまったマウスを蘇らす実験」と言い制作に挑み、そしてその結果マウスを蘇らした。
それは12年前に死んだマウスではあるのだけど全く新しいマウスとなって蘇った。

この展示タイトルの「Refined black」を直訳すると「洗練された黒」となる。
それは山上がこの作品たちを生み出すまでの心の葛藤や戦いの経緯を指している風にも感じられるが、私の中では決してその色は「黒」だとは思わない。

ここにあるのは12年前ではなく今の作品であり、私は山上が全く写ってない、山上自身が被写体となり「光を撮った」作品たちだと思っている。

最後にこの展示が始まるにあたり、山上は「黒は一番豊かな色だ」と私に伝えた。

本展キュレーター 井上竜介
PROFILE
山上新平 / Shimpei Yamagami
1984年神奈川県生まれ。東京ビジュアルアーツ卒業。スタジオ勤務を経て作家活動を開始。

個展に「Shimpei Yamagami Exhibition」(思文閣 京都 / 銀座 2018年)
主なグループ展に「LUMIX MEETS BEYOND2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #3」(Yellowkoner Paris Pompidou 2015年 / 六本木IMA gallery 2016年)
「3daysEXHIBITION」(SEZON ART GALLERY 2017年)がある。

また2017年にはDaikanyama photo fair competitionにて優秀賞(奈良美智選)を受賞。