CANDLE CAFE & Laboratory ΔΙΙ
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2025.05.23(金)
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2025.06.07(土)
Messengers in Object
創造的な予感をたよりに、自分の断片を積み重ねることにした。
「積み木」のルーツをしらべてみるとドイツの教育学者フレーベルが1830年代に創作した恩物積木に行き着く。教育玩具としての積み木は幼児の脳に刺激を与え、自発的な創造力と想像力を伸ばし、恩物という概念は「神から授けられたもの、または神を感じるもの」であると。
そして「積む」という行為について思考を巡らせる。ふと、山や川などに必ずある、石の上に石が何個も積まれたあの「石積み」が思い浮かぶ。
あれは「ケルン(cairn)」という名称のようだ。日本語では「石積み」という名でしかなく、仏教的な観念だと三途の川などに無数に建てられるようなイメージがあるが、「ケルン」というのは天然には生じない、人によって組み立てられた石積みとある。それは山岳者にとって重要な意味をもつ道標であったりもするし、誰かの願いや祈り、慰霊を表したものだったり、誰かの上にそっと積むような直感的な行動の連続によるケルンもある。
人類は太古からそうゆう石を積み上げ、「ここにいた」という存在を示し、情念みたいなものだけを残して後世に佇んでいる。
そんな思考の中、描いた丸太を切り、角材をしたて、石など拾い、ほとんど無作為に、その断片をそっと積み重ねた。現実にはありえないだろう立体物として紙面に現れ始め、不思議なそれらは沈黙したままに何かを訴えだした。
それらを "Messengers in Object" と題し、創造性の根源にふれるモノとして、そして常に道なき道を指し示す標柱として、連作した作品である。
PROFILE
間弓浩司 / Mayumi Koji
イラストレーター、グラフィックデザイナー、アーティスト