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2024.06.14(金)
蓮井元彦 / 嶌村吉祥丸 「東京」
△ll 20th Anniversary Project vol.18は写真家の蓮井元彦と嶌村吉祥丸による2人展「東京」です。
東京をテーマにした展示をやりたいと考えた時に、真っ先にこの2人のことが頭に浮かんだ。
東京出身の2人にとって「東京」とはどう見えていて、そして何を撮るのだろうか、というシンプルな好奇心で同じく東京出身の私は静かに胸が熱くなった。
CANDLE CAFE △ll 井上竜介
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6/4
私はエジプトにいた。小高い丘の上から賑やかな大通りを眺めている。
薄茶色の建物や薄いエメラルドグリーンのような色をした服を身に纏った人々やラクダが歩いている。
遠くには山並みが聳える。いっときに訪れているこの土地だけれど、いっそ引っ越してしまおうか。向こう の路地裏には、そして、あの山並みの向こうにはどんな世界がひろがっているのか。
東京がテーマの展示のことを考えながら眠りにつくと、エジプトの夢を見た。
朝、シャワーを浴びながら、まだ生ぬるい僕の意識に漂っていたのは行ったこともないエジプトの光景と自
由の感覚。
そんな幻想の旅にさよならを告げ、自宅を後にする。
私がいるこの街はエジプトでも他のどこの街でもなく、東京なのだ。
6/5
今朝もシャワーを浴びた。
1983という数字が湯気の隙間にゆらゆらと浮かんだ。私の生年の数字。
そういえば昨日、中学の同級生に会ったんだ。
彼は空師という造園の仕事を地元でしているそうだ。 こじんまりとしていた地元の駅は随分と立派になってしまって、駅前で待ち合わせた彼の顔は(そしてきっ と私の顔も)歳を取っていた。そうか、私たちは最後に会った日から25年の時間が経ったんだな。昼飯を食 べながら久々の再会ということでお互い少し緊張しながらも、たまに見せてくれる彼の笑顔の表情はとてもあどけなく、優しい。
6/6
自宅の庭で、昔好きだった某有名バンドのPVの撮影が勝手に行われている、という変な夢を見た。
母の主治医に会うために地元の病院へ車を走らせる。
帰り道、国立駅近くの喫茶店に寄って、この文字を打つ。
東京 ̶ 私はこの街で育って、地域こそ変わってはいるものの、今もこの街に住んでいる。
そこにある私の日常と非日常。喜びとトラウマ。友人と家族。
それがきっと、私にとっての東京。
蓮井元彦
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東京生まれ。わたしのプロフィールはその言葉で始まります。
東京という場所は、とても居心地がいい。人混みや喧騒が好きというわけではない。
自らが生まれ育ってきた環境に対して、特段都会であるとも、自然がないとも思っていない。
様々な国を旅して写真を撮ってきたわたしにとって、東京はとても「普通」に感じる。
異国で生まれていたら、東京の景色はきっと「異常」に見えていたかもしれない。
「東京」をタイトルとした本展示にあたって、生まれ育った街を改めて散歩することにしました。
そこに写っているのは、きっとわたしにとって普通の「東京」。誰かにとっては、知らない「東京」。
嶌村吉祥丸
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PROFILE
蓮井元彦 / Motohiko Hasui
写真家。1983年山形県生まれ、東京都出身。
2003 渡英、Central Saint Martins Art and Design にて ファウンデーションコースを履修した後、London College of Communicationにて写真を専攻。
卒業後、2007年帰国。以降、東京を拠点に活動する。
2013年、4年間の日常生活を記録したスナップ写真からなる写真集『Personal Matters』をイギリスの出版社 Bemojake より出版する。
その後、『Deep Blue ‒ Serena Motola』などの私家版小冊子の発表を経て2019年、続編の『Personal Matters Volume II』 (Bemojake)を出版。
2020年には写真集『for tomorrow』(Libro Arte)、2021年には『写真はこころ』 (Printed Union)、2023年に『VIATOR SWELL』(Libro Arte)を出版する。
G20大阪サミット2019では、京都・東福寺で行われたティーセレモニーに際し制作された図録の撮影を手がける。
嶌村 吉祥丸 / Kisshomaru Shimamura
東京生まれ。国内外を問わず活動し、ギャラリーのキュレーターも務める。
主な個展に"Unusual Usual"(Portland, 2014)、 “Inside Out” (Warsaw, 2016)、"photosynthesis"(Tokyo, 2020)など。
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